1. 中国のステンレス鋼規格の概要
中国のステンレス鋼は、国家標準であるGB/T(Guobiao/Tuijian)規格によって規定されている。主要な材料規格としては、ステンレス鋼棒のGB/T 1220、構造用ステンレス鋼管のGB/T 14975、流体輸送用ステンレス鋼管のGB/T 14976などがあり、化学成分や機械的性質が詳細に定められている。特にGB/T 20878は、ステンレス鋼の牌号と化学成分を包括的に定める基本規格であり、200以上の鋼種が登録されている。これらの規格に基づき、中国市場では多様なステンレス鋼材が製造・流通している。
2. 主要な鋼種シリーズの特徴と用途
中国市場で流通するステンレス鋼は、主に組織によって200系、300系、400系に大別される。
300系ステンレス鋼(オーステナイト系):
クロム(Cr)18%・ニッケル(Ni)8%を基本成分とするSUS304に相当する鋼種が代表格であり、中国市場で最も生産量が多い。優れた加工性と耐食性を持ち、建築装飾、厨房機器、化学プラントなど幅広い分野で使用される。さらに、耐食性を高めた316L(モリブデン含有鋼) は、船舶製造、化工設備、海洋工学などの高度な耐食環境で需要が拡大している。2026年の300系冷間圧延ステンレス鋼板の生産量は、前年比4.7%増の892万トンと予測されている。
200系ステンレス鋼(オーステナイト系):
ニッケル含有量を低減し、マンガン(Mn)で代替した低コストタイプである。SUS201などが代表的で、主に装飾材、日用品、家電製品などに使用される。2026年の200系冷間圧延材の生産量は、前年比9.6%増の569万トンと、3系列の中で最も高い成長率が見込まれている。
400系ステンレス鋼(フェライト系・マルテンサイト系):
SUS430(フェライト系) やSUS410(マルテンサイト系) などが代表的で、ニッケルを含まないため価格変動の影響を受けにくい。自動車部品、家電製品、厨房機器などに幅広く使用されており、2026年の400系冷間圧延材の生産量は348万トン(前年比6.1%増)と予測されている。
二相系ステンレス鋼(オーステナイト・フェライト混合組織):
2205に代表される二相系ステンレス鋼は、高強度と優れた耐応力腐食割れ性を併せ持ち、石油化学プラント、海水淡水化施設、橋梁などの過酷な環境で需要が高まっている。中国国内では、高付加価値材としての輸入代替が加速している。
3. 2026年の市場動向:コスト高と在庫調整の狭間で
2026年初頭の中国ステンレス市場は、原材料コストの高騰と需要の弱さという二つの相反する圧力に晒されている。
第一に、ニッケル価格の回復が鋼材価格を押し上げている。LMEニッケル価格の反発を受け、中国国内のステンレス価格は急上昇した。2026年1月時点で、304冷間圧延ステンレス鋼板の価格は無錫・仏山両市場で1トンあたり約14,400元(約2,066ドル)まで上昇している。一方、低ニッケルグレードである430系の価格は安定しており、201系は間接的な影響を受けつつも上昇幅は限定的である。
第二に、需要の回復遅れと在庫積み上がりが懸念されている。無錫・仏山の二大市場におけるステンレス鋼の社会在庫は増加傾向にあり、高値警戒感からエンドユーザーの購買意欲は低迷している。旧正月前の在庫積み増し需要は限定的で、流通在庫はエンドユーザーに十分に流れておらず、需給の不均衡が顕在化している。
しかし中長期的には、船舶製造や化工設備、海洋工学などの分野における高耐食ステンレス材料の需要は着実に増加すると見込まれている。また、「双炭(ダブルカーボン)」目標の下で進む環境設備やエネルギー関連の投資拡大が、310Sなどの耐熱ステンレス鋼の需要を下支えする要因となっている。
中国のステンレス鋼市場は、依然として原料価格の変動に強く影響される構造にあるが、産業構造の高度化に伴い、高付加価値材へのシフトが今後も加速していくと予想される。
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