資源供給の要・中東で何が起きているか
イスラエルと周辺国の対立激化は、スエズ運河を経由した物流リスクを高め、欧州向け輸出の停滞を招いている。同時に、最大のニッケル産出地域である中東・インドネシア情勢の不安定化が原料相場を押し上げる要因に。インドネシア政府は2026年のニッケル鉱石生産枠を前年比1億トン以上削減。さらに工業団地での地滑り事故も重なり、LMEニッケル価格は3年ぶりの高値を記録した 。
日本のステンレス二次加工メーカーは原料高を製品価格に転嫁しにくく、板金加工業者の収益は急速に悪化。従来の「国内完結型」のビジネスモデルは限界を迎えている。
生き残りを懸けた中国委託へのシフト
こうした状況下、日本の板金業界で急速に広がっているのが、中国工場への生産委託だ。
「弊社でも昨年から溶接と曲げ加工の一部を華東地区のパートナーに移管した。材料費の高騰分を吸収できているだけでなく、円安効果も相まって価格競争力が20%以上改善した」。関東の金属加工業者はこう打ち明ける。
中国では人件費の高騰が叫ばれて久しいが、依然として設備稼働率の高い広大な加工キャパシティと、ミスミ(MISUMI)などに代表される日系規格品の調達網が整っている 。日本のユーザーが求める高品質を維持しつつ、変動する原料リスクをサプライチェーン全体で分散できる点が評価されている。
新たなリスクと今後の展望
ただし、中国委託にも課題はある。米国は輸入品に対し最大15%の関税を課す方針を打ち出しており、中国経由での対米輸出ビジネスは採算が悪化する可能性が高い 。また、欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)本格運用開始に伴い、サプライチェーン全体でのCO2排出量算定が求められる時代に入った 。
専門家は「中東情勢が一段と緊迫化すれば、原料高とエネルギー価格の高止まりは避けられない。日本企業は単なるコスト削減ではなく、『グリーン調達』を含むリスク分散型の生産体制を中長期的に設計すべきだ」と指摘する。
激動の国際情勢は、日本の板金業界に真の「選択と集中」を迫っている。
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